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「お嬢ちゃんはどこの悪魔ちゃんかな? 早く帰らないとママが心配するよー?」
見た目が小学生高学年くらいに見える事もあってか、男はわざと少女を茶化してみる。すると彼女は平坦に、にこ、と目の線を細めて。
「大丈夫です。貴方ごとき、ニートに心配される云われはありません。そんな事よりも、ご自分の借金の事を心配した方が宜しいのでは?」
ガーン! 少女に言われてしまった。頭を何か重たいもので殴られたような衝撃に、男は部屋の隅でうう、と頭を抱えて悶える。そして共に気付いてしまう。
「おい、ちょっと待てよ嬢ちゃん。どこで“その事”を聞いた?」
そうなのだ。借金を抱えている事は、自分と後は親しい友人くらいの物の筈、だとすれば、このガキがその事を知っているのは可笑しい。
金融会社からの回しものかとも考えたが、良く良く考えればそんな事はあり得ない事だった。だとすると、誰だ? 俺の友達のガキか?
一体誰だ? 一人で男が頭を悩ませていると、少女は物干し竿の上から一、二ーので華麗に飛び下り、ベランダ仕立てのコンクリートに着地する。そして、さもありなん、何か不思議な事でも? と言わんばかりに、当たり前に男の特徴をつらつらと述べ始めたのだった。
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