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勉強の場に選んだのは、お馴染み拓也の家だった。
真由はなんの遠慮もなく家に上がり込むと、住人の拓也を置いてスタスタと奥へ進む。
リビングには、すでに人がいた。
真由より小さな体に、綺麗なストレートの髪をまとった少女だ。
互いの存在に気づく。
先に行動したのは、真由のほうだった。
チワワは急に敏捷性を増すと、一気に少女との距離を詰めるなり上から覆い被さるように抱きついた。
「ただいまぁ~郁ちゃ~ん! お姉ちゃんが帰ってきましたよぉ~!」
「こ、こんにちは、真由、さん」
その胸に押しつけられた郁は苦しそうに答える。
端から見れば友達同士に見えないこともない。
愛くるしい少女たちの戯れだ。
お姉ちゃんなどと名乗っているが、決して郁は真由の妹ではない。この家に住んでいるのだから、当然拓也の妹だ。
だが、真由には関係ない。
かわいものは、愛でたくなるものなのだ。
フルパワーで抱きつく真由。郁は先ほどからタップを繰り返している。
そろそろ呼吸の限界だ。
拓也はあとからリビング入ってそれを見つけるなり、慌てて二人を引き剥がしにかかる。
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