罪─止まった時間─

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 原因は妻。  男の暴力によって壊れた心のバランスを保つために、息子を傷つけたのだ。  男となんら変わらない理不尽な暴力。  悲しみが、新たな悲しみを生み出した結果だった。  だが、男に彼女を責める資格なんてそもそもない。  全ては、男の犯した一つの過ちから始まったのだから。  でも、だからこそ。  これ以上、悲劇を繰り返させるわけにはいかない。  誰にも傷ついてほしくない。  ──自分から始まった憎しみの連鎖は、自分で断ち切る。 「私の手で……」  止まっていた男の罪の時間が、ようやく動き始めた。  
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