657人が本棚に入れています
本棚に追加
原因は妻。
男の暴力によって壊れた心のバランスを保つために、息子を傷つけたのだ。
男となんら変わらない理不尽な暴力。
悲しみが、新たな悲しみを生み出した結果だった。
だが、男に彼女を責める資格なんてそもそもない。
全ては、男の犯した一つの過ちから始まったのだから。
でも、だからこそ。
これ以上、悲劇を繰り返させるわけにはいかない。
誰にも傷ついてほしくない。
──自分から始まった憎しみの連鎖は、自分で断ち切る。
「私の手で……」
止まっていた男の罪の時間が、ようやく動き始めた。
最初のコメントを投稿しよう!