『奇妙で普通じゃない出来事』

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誰も知らない、今。 ──カチ、カチと。 それは時を刻む。 漆黒の……狭間の時を。 今も、ずっと。 午後3時58分1秒。 「じゃあね~」 学校の校門前。明るく、満面の笑みで彼女は手を振った。 彼女の名前は素童凪沙(すどうなぎさ)。北栞(きたしおり)高等学校の生徒、2年。 髪は黒色のセミロング。顔・スタイル共に整い、気は強めだがその明るい性格から、クラスでも男女問わず人気。 「んー、最近寒くなったわねぇ……」 ──カチ、カチ。 「あれ?」 極々普通に、いつもの平凡な道を、何事もなく歩いていた凪沙は道に落ちている“何か”を発見した。 太陽の光に照らされ、キラッと光る“何か”。 一瞬、お金かなにかが落ちているんだろうと思った。 ササッと素早く駆け寄り、周りに誰もいないことを確認。 仕方がないなー、と黒い心を棒読みの台詞で隠しながらそれを拾う。 あ、違う。
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