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「よう。悪いが、さっさと片付けさせて貰うぜ」
翔哉は普段生活の中において、全くと言っていいほどやる気というものを“出さない”。
……だがそれは、クールを気取っているとか、そうすればモテるとか、そういう上っ面な理由からではない。
退屈なあの世界に、やる気を出す必要性が分からないからだ。
町には不良が溢れ、弱い者は惨めな思いをし。
それに何も分かっていない大人も溢れ。周りで言えば教師や理不尽な事を言う保護者や。
こんな世界、うんざりだ。
だが、スクレアムの中では別だ。
自分のやるべき事。使命。
そして何より、自分が輝ける事がある。
それだけで、翔哉は楽しい。
自分がヒーローでいられる、自分が主人公でいられる。
そんなこの世界でのみ感情を表す。
「いくぜ!」
翔哉は自分の目の前に引っ掻くように、人差し指と中指で空中に1本の“線”を引いた。
大体1メートル強、程の長さで横に。
すると、線は白々と光りを発し、パリンッとまるでガラスの割れる様な音を出す。
そこには、鞘に入れられた1本の“刀”が浮いていた。
重力に伴い、落ちかけた刀の鞘を握る翔哉。
ブンッと1回転させ、慣れた手つきで腰のベルトに差し込む。
刀を携えた学生。
その様は漫画やアニメ、ライトノベルにでも良くありがちな、そのまま。
それを現実にしたのが今の状況だ。
「────……」
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