《ライブオークの下で》

5/7
前へ
/39ページ
次へ
目立つ少女だ。 これ以上は無いと言う位・・・。 白銀色の髪。黄金色の瞳。そして、真っ白な、大きな翼! 「て・・・天使!?」 「目、覚めました?」 天使は、にっこりと笑って言った。 「ここは、天国か?」 私は、ぐるりと周りを見回した。 私の前には、さっきまでの通り、樫の巨樹が立っていて、その横には、相変わらず、寒々しい墓地が、横たわっている。 天国には、見えないが・・・。 「アルバート・ウィンドールさんですね。」 落ち着かな気に、きょろきょろしている私に、天使が話しかけてきた。 「え?ええ。私の事を知っているのですか?」 「はい。」 ごく簡単な返事だけをして、天使はくるりと向きを変え、私やオークから遠ざかる方向へ、歩き出した。 5歩ほど進んで振り返り、 「付いて来てください。」 と言う。 「あ・・・あの・・・。」 「はい?」 「何処へ行くのです? ここは何処でしょう? あなたが・・・天使がいるということは、天国なのですか? パットは・・・パットもここに居るのでしょうか?」 今の状況が理解できず、・・・天使など、教会の絵くらいでしか見たことがなかったのだから、無理からぬことだろう・・・私は、矢継ぎ早に質問を投げかけた。 「パトリシア・パディントンさんは、天国にはいらっしゃいません。」 天使は、歩みを止めず、前を向いたまま、また短く返事をした。 穏やかな口調だったが、どこか慌てているような印象があった。 「あの・・・。」 天使は立ち止まり、重ねて質問しようとする私の方を、振り返った。 「言葉で説明するよりも、ご覧になれば分かります。どうぞ、付いていらしてください。」 「はあ・・・。」
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加