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目立つ少女だ。
これ以上は無いと言う位・・・。
白銀色の髪。黄金色の瞳。そして、真っ白な、大きな翼!
「て・・・天使!?」
「目、覚めました?」
天使は、にっこりと笑って言った。
「ここは、天国か?」
私は、ぐるりと周りを見回した。
私の前には、さっきまでの通り、樫の巨樹が立っていて、その横には、相変わらず、寒々しい墓地が、横たわっている。
天国には、見えないが・・・。
「アルバート・ウィンドールさんですね。」
落ち着かな気に、きょろきょろしている私に、天使が話しかけてきた。
「え?ええ。私の事を知っているのですか?」
「はい。」
ごく簡単な返事だけをして、天使はくるりと向きを変え、私やオークから遠ざかる方向へ、歩き出した。
5歩ほど進んで振り返り、
「付いて来てください。」
と言う。
「あ・・・あの・・・。」
「はい?」
「何処へ行くのです?
ここは何処でしょう?
あなたが・・・天使がいるということは、天国なのですか?
パットは・・・パットもここに居るのでしょうか?」
今の状況が理解できず、・・・天使など、教会の絵くらいでしか見たことがなかったのだから、無理からぬことだろう・・・私は、矢継ぎ早に質問を投げかけた。
「パトリシア・パディントンさんは、天国にはいらっしゃいません。」
天使は、歩みを止めず、前を向いたまま、また短く返事をした。
穏やかな口調だったが、どこか慌てているような印象があった。
「あの・・・。」
天使は立ち止まり、重ねて質問しようとする私の方を、振り返った。
「言葉で説明するよりも、ご覧になれば分かります。どうぞ、付いていらしてください。」
「はあ・・・。」
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