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私たちは、手を取り合い、肩を寄せ合って、小屋に入った。
古い小屋の中は、掃除こそされているが、暗い感じがした。
部屋に有るのは、簡素なベッドと、薪のストーブ、それからデスクを兼ねた小さな箪笥と、椅子が一つだけ。
デスクの上には、蝋燭が揺らめいており、箪笥の上には、今は何も生けられていない、淡い水色ガラスの一輪挿しと、やはり空っぽの鳥篭が一つ、置かれている。
パットは、私を椅子に掛けさせると、しばらく、懐かしいような、悲しいような、何とも言えない表情で、私を見つめていた。
私も、彼女に出会えた喜びばかりが、心を占めていて、惚けたように彼女を見つめ返していた。
蝋燭の灯りに照らされた彼女は、もう何年も着ているような、古びた、アイボリーホワイトのポロネック(=タートルネック)のセーターを着ている。
やつれた姿・・・、おんぼろの小屋・・・。
私は、彼女のこれまでの暮らしに、思いを廻らせた。
「あれから、さぞ苦労をしたんだろうね。
戦争から戻って、ずっと捜していたんだが、こんなにも遅くなってしまった・・・。すまない。」
詫びる私に、彼女は、静かに首を横に振ると、テーブルのところへ行って、ペンと紙束を取り、その一枚に何事か記して、私のところに持って来た。
紙には、短い2つの文が書いてあった。
【会えて、とても嬉しいです。】
それと・・・、
【声を、失いました。】
私は、一瞬その意味が理解出来なかった。いや、したくなかっただけかも知れないが・・・。
ただ、心臓を鷲掴みにされたような、苦しさを覚えた。
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