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「おお・・・。パット・・・。」
私には、彼女を抱きしめることしか出来なかった。
彼女は、私の腕の中で、静かに泣いていた。
どれくらい、そうしていただろうか。
落ち着きを取り戻した私たちは、ベッドに隣り合って腰掛け、私は、今までにあった事を彼女に話して聞かせた。
彼女は真剣な表情で、聞き終えると、自分の身に起こった事を、紙に記しはじめた。
【アルが戦争へ行って、1年程あと、街が大空襲に合いました。
家は焼け落ち、父も母も、みんな死んでしまいました。
私も、爆風で飛ばされた破片で、体に何箇所も傷を負い、その1つが喉を貫きました。
何日も、生死の境を、彷徨いました。
命を取り留めてからも、体の自由はままならず、戦火を逃れ、治療のできる病院を探し、体を休められる土地を求めて、転々と移されました。
3年も経ち、何とか体は動くようになりましたが、声は戻りません。
そのうち、この町に流れ着いた頃には、僅かに持っていた、宝石や金品も底をつき、ご覧のようにして、ここで細々と暮らしています。】
私は、自ら望まぬ事だったとはいえ、パットを残し、戦場へと行かねばならなかった事を、後悔せずにはいられなかった。
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