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「お化けを見たんだって?どんなお化けだったね?」
「真っ白で、もこもこしたのよ。私の前をすうーっと横切ったの。
・・・鈴を付けていたわ。」
「鈴を?」
「ええ。チリチリと音が鳴ったもの。」
私は驚いて聞いた。
「女の子のお化けだったかい?金色の目の?」
「うん。・・・目は、分からないけど。」
私と妹の会話を聞いていたニックが、興味深そうに目を輝かせはじめた。
「おじいちゃん。そのお化けを知っているの?」
私は立ち上がり、廊下の天井を見上げた。
灰白色の天井は、長い年月とタバコの脂で飴色に変わっていたが、掃除は良く行き届いている。
「ねぇ。おじいちゃん?」
孫たちが、私をせっついた。
「話を聞きたいかね?」
そう聞くと、2人は目をキラキラさせて、うなずく。
私は、自分の部屋のドアを大きく開き、わざと大げさな身振りで、小さなお客を、我が歴史の王国へと招き入れた。
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