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彼女の記した文字は、こう続いていた。
【アル。生きて再び、あなたに会えるとは、正直思っておりませんでした。
よく、あの戦争を生き延びて、帰って来てくださいました。
嬉しくてたまりません。
なのに、あなたの名前を呼ぶことも叶わない。
今でも、昨日の事のよう思い出せる。
あの日のように、あなたの隣で、歌えたら・・・。】
読み終えて顔を上げ、彼女に視線を移すと、その頬には、三たび涙が伝っていた。
「声などどうでも構うものか。生きていてくれたただけで、こんなに嬉しい事は有りはしない。
やっと私の体に魂が戻った心地だよ。」
私は、彼女の頬に手を当て、指で涙を拭った。
「一緒に暮らそう。今はまだ、楽な暮らしをさせてはやれないけれど、一生懸命働くさ。
君と一緒に居られるならば、苦労などで有るものか。」
その夜、私たちは、互いの身に起こった苦難に涙を流し、9年の歳月を越えて巡り会い、やっと愛の誓いを果たせる事に喜び、2人の未来について語り合った。
そしてやがて、2人とも疲れて、ぐっすりと眠ってしまった。
私は、夢の中でパットの歌を聞いていた。
しかし、ふと目を覚まし、それが現実に聞こえているのだと、気が付いた。
横を見ると、パットはぐっすりと眠っている。
オークのところで聞いたのと同じに、歌は、頭の中に直接響いて来る。
あの天使か?
なぜ、まだ歌っているのだろう。
私を呼んでいるのか?
私は、そっと小屋を抜け出し、オークの有る墓地へと歩いて行った。
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