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「ひッ! す、すみませんでした!!」
小悪魔はパッと咲夜とパチュリーに向き直り、深々とお辞儀をする。
その時抱えていた本をバタバタと落とし、またも本を山のように積む。
「あ、あわ、あわわわわ…」
小悪魔はしゃがみ込み、落とした本を必死に掻き集める。
その表情は今にも泣き出しそうな子供のようだった。
「まぁまぁ、そんなにこの子を叱らないであげて頂戴。 私が手伝ってもらっている時に、ふいに起きた事故なのだから」
本を涙目で抱える小悪魔にパチュリーは近づき、彼女の頭を撫でながら咲夜にニコリと微笑みを向ける。
「ぱ、パチュリー様~…」
「はぁー…。 お言葉ですが、パチュリー様は少しこの子を甘やかしすぎです」
パチュリーの言葉に今度は嬉しくて泣き出しそうな小悪魔を尻目に、咲夜は溜め息をもらす。
「私よりも長くこの館に遣えながら、毎日毎日失敗ばかり。私に迷惑かけるならまだしも、挙げ句の果てにはパチュリー様にも迷惑をかけて。今だって下手をしたらケガをしたかもしれません。 …正直、私にはパチュリー様がこの子をお側に置いている気持ちが分かりませんわ」
いつもよりも少し強い口調。
その言葉にはありありと苛立ちが込められていた。
小悪魔は咲夜の言葉が胸に深く響いたのだろう。
「ゴメンなさい」と、うつむきながらぽつりと小さな声で言うと、翼を広げ飛んで行ってしまった。
その目からは涙が流れていた。
「あ…」
咲夜自信、自分の口からこんな言葉が出たことに驚いた。
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