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「咲夜、遅いわよ。貴方から起こしにきたくせに、どれほど待たせるつもりなの?」
食堂に入るとテーブルにはレミリアとフランドールが既に席につき、何故か門番の美鈴までもが席についていた。
「も、申し訳ありません。只今朝食をお持ちしますので」
「まったく、貴方が時間にルーズになるなんて…。 美鈴の悪い癖が移ったのかしら?」
「ウフフ。めーりんめーりーん」
「あ、いや、私はそんな時間にルーズだなんて…」
「申し訳ありません…」
レミリアはもちろん冗談のつもりだった。
いつもなら冗談には冗談で返してくる咲夜だ。
レミリアの言葉を真に受けていそいそと厨房へと向かう咲夜に、レミリアと美鈴は違和感を感じた。
「あ、私も手伝います!」
咲夜と美鈴は厨房に向かうと、メイド妖精と共に朝食を運びテーブルに並べた。
「遅くなって大変申し訳ありませんでした。どうぞ召し上がってください」
咲夜は頭の痛みを堪えながら、ニコリと笑う。
しかし痛みが引くわけでもない。
皆が食べ始めるのを見ると、厨房へと入ろうとする。
その時「咲夜」と、レミリアに呼び止められる。
「…はい? なんでしょう、お嬢様?」
ピタリと足を止め、くるりと踵を返す。
「パチェはどうしたのかしら? 今日は小悪魔も連れてくるようにと昨日言っておいたのだけど?」
小悪魔の名前が出た時、咲夜はどきりとした。
「たまには全員一緒に朝食でもと思ってね。まぁ、パチェのことだからそんな約束忘れて本に夢中になっているのだろうけど」
「本のむしー本のむしー♪」
「い、妹様! そんなにはしゃぐとお料理こぼしますよ!」
きゃっきゃと歌うフランドールを宥める美鈴。
レミリアはそんな光景を微笑みを浮かべながら見つめる。
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