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その怒鳴り声は食堂に大きく響いた。
あまりの大きさにフランドールさえポカーンとして咲夜を見ていた。
そして何より驚いたのは咲夜自身だった。
先程の小悪魔の時といい、自分がなぜこんなにも苛立っているのかわからなかった。
「ふ、ふぇぇぇぇええ!!」
我に帰ったフランドールは自分が怒鳴られたと分かり、泣き出してしまった。
咲夜は顔をあげることが出来なかった。
自分の主人の妹に対し苛立ち、怒鳴り声まであげてしまった。
しかも主人の前で。
そんな自分が恥ずかしかった。
時間を止め、逃げればよかっただろう。
しかし、そんな考えも浮かばない程に彼女は動揺していた。
ただただ床を見つめ、自分への怒りと恥ずかしさと後悔でプルプルと震えるしかできなかった。
「い、妹様! ほら泣き止んで下さいよー!! さ、部屋に行きましょ」
嫌な空気を察したのだろう。
美鈴はボロボロと泣くフランドールを連れ、食堂から出ていった。
バタンッ。
扉の閉まる音が食堂に虚しく響く。
フランドールの大きな泣き声もどんどんと小さくなる。
食堂に残されたのは咲夜とレミリアの2人きりになった。
――――――。
――――。
――。
沈黙が続く。
どれほど経ったかわからないが、その間レミリアはただ何もせずに床を見続ける咲夜をただ見続けた。
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