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咲夜は自室のベッドで横になっていた。
頭の痛みはいつの間にか消え、今は後悔の念だけが残った。
先程自分が起こした一件を振り替えると、死にたくなる思いだった。
そしてレミリアから言い渡された「無期限の休暇」。
それは解雇を意味するのだろうか?
それとも本当に休んでいろと言っているのだろうか?
咲夜にはこの紅魔館を出ていけと言われれば行く宛もない。
その事を考えると、彼女は涙が出てきた。
咲夜にとってこの紅魔館が、そして主であるレミリアが彼女の全てなのだ。
と、彼女が途方に暮れていた時だった。
ガシャーン!
「きゃっ」
突如、廊下から何かが砕ける音。
そして甲高いいくつかの叫び声。
(敵襲!?)
咲夜はハッと我に返り、勢い良く部屋から飛び出た。
が、そこには敵らしき姿など見当たらず、変わりにあったのは粉々に砕けた装飾品の花瓶と、モップを持ちエプロン姿のレミリアとフランドール、そして美鈴だった。
3人は慌てて花瓶の欠片を拾い集めていた。
「お、お嬢様!? それに、妹様まで…。 そのお姿はどうなさったのですか!?」
「あ、さ、咲夜!」
レミリアは咲夜の姿を見て、慌ててモップを後ろに隠す。
掃除しているという事を隠したいのだろうが、服装からして今何をしているのかを隠すのは無理な事だった。
「お怪我はございませんか? 私が拾いますので下がっていてくださいな」
咲夜は素早くレミリア達の元に歩み寄るとしゃがみ込み、手際良く欠片を拾い出す。
「ダメよ、咲夜」
と、その時だ。
後ろからレミリアの声がする。
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