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「失礼しました」
その日の夕方、幸子は退学届けを提出して校長室からでてきた。
そのまま歩いて荷物を取りに2年4組の教室に向かう。
1年半過ごした校舎を1人で歩く。
下校時刻を過ぎているのですれ違う生徒は1人もいない。
幸子がわざわざ時間を夕方にしたのは、クラスの女子と会いたくなかったからだ。
幸子は2年4組の教室の前まできてドアを開けた。
2週間ぶりの教室、いつも騒々しかった教室には誰もおらず、今は寂しい程静まり返っていた。
幸子は自分の席に座って、この教室での思い出を噛み締めていた。
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