682人が本棚に入れています
本棚に追加
「はい」
絵梨佳は結衣に携帯を差し出した。
受け取った手が震えている気がする。
画面には絵梨佳と、隣にいる金色の髪の青い目の少年が笑っていた。
ただ、その少年は本当に少年だった。
多分、年齢は小学生くらいだと思われる。
「違う…」
それに顔が違う。
画面の少年は綺麗だが、エリックとは違う。
目も鼻も口も。
「違うって失礼な。確かに小学生だけど、紳士なんだから。いつかは手懐けて私の…ヒヒヒ」
絵梨佳はいやらしく笑った。
結衣は黙って絵梨佳に携帯を渡した。
「うわー恐いわ。エリック君も可哀想ね、こんなおばちゃんに目を付けられて」
画面を覗いていた可奈は震える素振りを見せて言った。
「何よそれ。結衣も違うだなんて言うし、酷いわよ!ねえ、結衣。って結衣?どうした?」
「あ、ううん。ごめんね、違うだなんて言って。知り合いに似てたから」
結衣は笑って言った。
落ち込んだ顔をすれば変だと思われるに違いない。
「え、知り合いにこんなイケメンいるの?」
「えーと、まあ、あはははは」
「ちょっと会わせてよ」
「今度ね」
「やった!」
絵梨佳はガッツポーズをした。
でも私がいつ会えるのか分からない。
海斗も竜司もいた。
だからリナやレナだって、エリックだっているはず。
いるって信じたい。
落ち込んだり塞ぎ込んだりするのは凄く簡単。
だけど、そんな事しても見つかる訳じゃない。
もし会ったとしたら、その時はもっと成長した自分で会いたい。
だからたまには落ち込むけど、それでも前向きに生きてる私でありたい。
ねえ、どこにいるの?
最初のコメントを投稿しよう!