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平凡な高校生前田奈々生は、アルバイトの休憩中、奇妙な浮浪者と遭遇した。
浮浪者は、ナナオから飲料水を奪い取り、不躾な態度で彼を翻弄する。
それでもナナオは、空腹らしき浮浪者に、食べ掛けのコンビニ弁当を分け与えた。
すると浮浪者は、偶然にも
『前田』姓を名乗るナナオに対し、態度を急変させて跪く。
『草の者』
『偸組』
『前田利家』
浮浪者が口にする、様々なキーワード。その奇妙な言動と共に、彼は名乗った。
──『疾風』、と。
ナナオを前田利家の末裔と認識し、跪いた疾風。
現実離れした言動を繰り返す謎の浮浪者は、翌日もナナオの意識を支配した。
やがてナナオは、この浮浪者によって、常軌を逸した出来事へと巻き込まれて行く。
妙立寺境内に現われた、異形の僧。
『風』を支配する疾風。
『鬼』、『刀』、『面』──。
やがて、二匹目の『鬼』がその姿を現わした時、また新たな犠牲者の生命が無惨に散る。
『紅いピアス』が風に揺らいだその時、前田奈々生は、漸く、一通のメールに気付いた──。
陽炎伝・疾風乃括、今宵第二幕の御披露目。
いざ。
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