サンタさんへのお願い

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その日の夕方、くうちゃんは また おねつが あがって、おふとんで ねていました。 「クリスマスまでに なおらなかったら 本当に サンタさんには 会えないのかな」 そう思うと、くうちゃんは 悲しくなって 今にも 泣き出しそうに なりました。 そのとき、げんかんのほうから、話し声が きこえてきました。 しばらくすると、お母さんが やってきて、 「くうちゃん、かっくんとまあくんが おみまいに きてくれたよ。うつると たいへんだから、すこしだけね」 というと、うしろから かっくんとまあくんが はいってきました。 「よお。だいじょうぶか?」 「くうちゃん、かぜ、つらい?」 ふたりは くうちゃんの そばにいくと、それぞれ そう言いました。 「すこし、ねつがあるんだけど、おなかはなおってきたみたい」 くうちゃんが そういうと、まあくんが 「ほんと! よかった。かっくん、ほらほら…」 といって、かっくんのほうを 見ました。 すると、かっくんは ランドセルをあけて、中から さんかくの 小さなはこを とりだしました。 「今日、きゅうしょく さいごの日だったから、チーズケーキがでたんだ。 これ、くうちゃんのぶん。 くうちゃん これすきだっただろ?」 「このチーズケーキね、あまってたのを かっくんが くうちゃんにあげるんだって、山野くんが食べようとしてたのを もらってきてくれたんだよ」 かっくんが さしだした さんかくは くうちゃんの だいすきな チーズケーキでした。 「ありがとう。スゴク うれしいよ」 「よかったね、かっくん。 かっくん、くうちゃんに『ありがとう』って いわれるの、すきだもんね」 「まあくん! よけいなこと いわなくていいよ!」 かっくんの おかおが すこし あかくなりました。 まあくんは 「ごめん。でも、いつも ちゃんと『ありがとう』っていえる くうちゃんは えらいよね。 『ありがとう』って みんなを きもちよく させるもの」 といいました。 まだ おかおが あかいままの かっくんは 「かぜ、はやくなおせよ。くうちゃんが いないと つまらないんだから。 じゃ、またな」 といって、うしろをむくと、くうちゃんの おへやから でていきました。 「じゃ、ぼくも かえるね。ケーキ食べて げんきになってね」 まあくんも かえっていきました。
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