464人が本棚に入れています
本棚に追加
音羽に意地の悪い見下した目が一転、ニコニコと男性を見ているのだ
そんな栄太郎にドン引きしつつ音羽は男性に目を移す
「音羽言います」
「あぁ、俊輔から聞いてます。鍛治屋の娘さんで刀が使えるとか」
「使えるやなんてうちには勿体ない言葉。女やから見下す男たちを見返したいだけや」
「それでも凄い!大丈夫です音羽さん!刀を握る者に男も女も関係ありませんから!」
音羽の手を握り、熱弁しだす男性は吉田松陰と言う。栄太郎たちが尊敬する師といった所だろう
「試合始めよっか」
松陰が音羽を褒めるたのが気に入らない栄太郎はムッと顰めっ面で道場に導く
汗臭いニオイが音羽の鼻を刺激し、つい摘んでしまった
まだ暖かい春の季節だから良いものを夏だったらどうなるやら
栄太郎が竹刀を音羽の足元に投げて自分はさっさと構えて音羽も竹刀を拾い構えた
「どっちが勝つと思う?当てた人は甘味奢ること!」
「栄太郎だろう。いくら音羽でも栄太郎には勝てん」
「案外、音羽かも知れねぇだろ」
「俊輔は?」
松陰が審判を務め九一の賭け事に義助は栄太郎、晋作は音羽と別れた
「引き分け」
「へ?」
「音ちゃん、ただの可愛い女の子じゃないから」
三人が首を傾げている間に松陰が開始の音頭を取ってしまった
仕掛けたのは栄太郎だった
最初のコメントを投稿しよう!