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「…いるよ、僕にも。松陰先生や家族や友達を守りたいよ」
目が細められて音羽が口元に弧を描く。馬鹿にしてるわけでなく寧ろ尊敬の眼差しだ
「吉田さんならきっと守れるで」
(なに…この感じ…)
栄太郎は今までに感じたことのない胸の拍動に戸惑う。まさか…と思うが認めたくない栄太郎は俊輔の話しをした
「俊輔は?」
「俊輔さん?俊輔さんやったら綺麗な女の人とどっか行ってもーた」
「……ねぇ。なんで俊輔だけ名前なの?」
「いきなりなんよ?俊輔さんが名前でエエ言うたから呼んでるだけでっけど」
ムカムカがまた復活する。しかし解決策は直ぐに見付かった
「僕の名前は?」
「吉田さん」
「下は?」
「……栄太郎さん」
この流れからしてなんとなく分かったのだろう。渋々といった感じが気に食わないがまぁ良い
「“さん”とかいらないよ。敬語も」
練習ね。ともう一度名を呼ばせる
「栄太郎……」
「うん。よく出来ました」
頭を撫でてやり音羽は桃色に染まった頬を膨らます
「もぅ!子供扱いしやんといて!」
「だってちょうど良いところに頭があるんだもん。背ぇ小さいなぁ」
「栄太郎が大きいだけや!」
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