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桜が咲き誇る季節にある少女と青年達は出逢った
安政5年【1858年 弥生】
「う゛ぅ~お実代ちゃん゛~」
泣きながらうどんを啜る青年に四人の青年達がウザッたそうに見ている
「今月で何人目?前はさやなちゃん、次は友理ちゃん……大体十人位にフラれてるよ」
「女が居るのに違う女を口説くからだよ」
「その内、女に刺されるぞ」
「自業自得で終わるだろうな」
青年達の容赦ない言葉に青年は益々落ち込む
五人の青年達は皆、顔が整っている
泣きながらうどんを啜っているのが松下村塾生の伊藤 俊輔。無類の女好きで、度々、女絡みの問題を起こす
俊輔に容赦ない言葉を浴びせたのは松下村塾に通い、松門四天王と謳われている入江 九一、久坂 義助、高杉 晋作、吉田 栄太郎の四人だ
「ちょっとは考えなよねー」
「無理でしょ。俊輔だし…フッ」
のほほんと俊輔を注意する青年が九一で、鼻で笑ったのが栄太郎である
「お前らは励ますとかしねぇのかよ!!」
「励ますにしたってフラれたのは一度や二度じゃ無いだろ」
「一々慰めていたらキリがない。つか、泣くか食うかどっちかにしろ。ウザイことこの上ないぞ」
少し温くなった茶を啜りながら俊輔を蔑むのは坊主頭をした義助である
「泣きながら食う……お前らのせいで泣きたくなったし……ていうか違うから!知り合いの女の子見かけたから挨拶したの!」
「知り合いっつっても、どうせ身体の関係の知り合いだろ」
切れ長の瞳と紺の着流しに長刀を差した青年が晋作。明倫館に入学していたが今では松下村塾に入り浸っている
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