出逢い

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「違うわ!!あんな純粋な子と出来るか!!」 「外見だけじゃない?見た目なら誰だって見繕えるよ」 「ちげーって。本当に純粋でなにも知らない子なんだよ」 「だからぁ、それが嘘じゃ――」 栄太郎の言葉を遮るみたいにけたたましい音が店内で鳴った 「なにしやがんだこの餓鬼!!」 「ご…ごめんなさ…」 「波瀬様の10両もする袴がうどんのつゆで濡れたじゃねぇか!!」 ゴロツキとその子分風情四人がまだ幼い子供の胸倉を掴み騒ぐ 「どうしてくれんだ?あ゙ぁ!?」 子分の凄みはそんなに怖くなくても幼い子供には効果がある。震え上がって涙で顔をグシャグシャになっている 「泣けば許してもらえると思ったら大間違いだ!!」 「お侍様!お止めくださいまし!!」 子供の母親らしき女性が奥から出て来るなりその場で土下座をしだす オロオロと狼狽えるだけの町人たちは金だけ置いて火の粉を被る前に逃げだした 「まだ幼い子供故、失敗をやります!どうかそこに免じて許してください!!」 額に土が着いても気にせず頭を下げ続ける母親。そんな母子の愛を踏みにじるのがゴロツキ 「じゃあ10両払ってくれよ。それで丸く納まるんだからな」 「10両だなんてそんな大金…!?母一人子一人で生きて行くだけでも精一杯なんです!うどんのお代は入りません!どうか!どうか…!」 「たかが数文しかしねぇ不味いうどんと10両する袴に天秤かけれるわきゃあねぇだろ!ないならテメェの身体を売りな!連れてけ!」
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