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「寂しかった…父さんたちに会いたくて、会いたくて…」
「うん。私らはもうどこも行かんよ。ずぅっと此処におるよ」
お羽の言葉がスゥッと心に吸い付く。泰平の大きい手やお羽の懐かしいニオイに音羽の涙腺が壊れた
そのあと奏と彼方も涙でグシャグシャにした顔で音羽に謝った
「俺達が不甲斐なかったせいで赤ん坊を……」
「すみませんでした音羽さん」
此処に来たとき、自分たちの傍らに小さい赤子が泣き叫んでいた
直感でその赤子が音羽の子だと分かり、試行錯誤しながら育てて音羽の両親を探していたらしい
「奏くん、彼方くん顔上げて?うちと稔麿の子を育ててくれておおきに」
「音羽さぁ~ん!!」
「こら彼方。泰平さん、お羽さん音羽さんをちぃの所へ連れて来てもいいですか?」
「あぁ、そやな。連れて来たって」
奏は音羽に抱き着こうとした彼方の襟を掴んで阻止し、揺り篭で眠る天音に連れて来た
そして今に至る
音羽は天音の顔を覗き込み小さな手を握った
「あったかいなぁ……」
小さな身体でも熱いくらいに暖かく、あの日に抱き上げた時の冷たさはない
「ふっ………ぎゃあぁぁぁあ!!!!」
「ひゃっ!?な、なに!?」
目が覚めた途端に泣き出し握っていた手を離してオロオロ困っていたら奏と彼方がすぐに来た
「彼方、お尻湿ってるか?」
彼方がグスる天音を抱っこしてユラユラ揺らす
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