464人が本棚に入れています
本棚に追加
/120ページ
「彼方くん天音どないしたん!?うちなんかして…!?」
「あははっ大丈夫ですよ音羽さん。お腹が空いてグスっただけです」
「そうなんや…良かった…」
ホッと胸を撫で下ろす。まだ母親としての知識がないせいで右も左も分からない状態だ
ちょっとしたことにすぐ驚いて慌てふためいてしまう
「うち、なにしたらエエ?お腹空いとんのやったらなにあげんの?」
「母乳をあげます。すぐ近くに夫婦がいてちぃと同い年くらいですから、いつもそこから母乳をもらっているんです」
「兄貴ぃ~ちぃが泣き止まねぇ~!」
「ふぎゃぁぁぁぁあ!!!」
奏は苦笑いしてはやく行こうと音羽と天音を抱っこしている彼方を連れて夫婦の元へ
「すみませ~ん!ちぃに乳やってください“あぐり”さん!!」
「え…?」
懐かしい名前に音羽の胸が高鳴る。一般的な長屋の戸を戸惑いなく彼方が開けてその家には
「音羽ちゃん……?」
あぐりがいた
あぐりは目を丸くさせて瞬きをした後、頬を軽く抓った
「夢見てんやろか…音羽ちゃんがおる…」
「あぐりちゃん、夢ちゃうで。来ちゃった」
茶目っ気にエヘッと笑うとあぐりが突進してきた
「うわ~ん!!音羽ちゃん会いたかった~!!」
いくらか成長して少女から女性に変わったあぐりを音羽も抱き着き返そうとしたが
「ぎゃあぁぁぁあん!!!!」
最初のコメントを投稿しよう!