ただいま

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お羽にため息をつかれたか数えたことないけども両手の指と足の指を出しても足りないだろう 家に着いて一切り(約10分)経った頃に夕餉の準備は整って広間とは言いにくい狭さであっても5人なら充分な部屋に繕が並べられる 「美味そー!泰平さんはやくはやく!」 (見えない)尻尾を千切れんばかり左右に振る彼方に急かされ泰平が音頭を取ってから皆、食事を楽しむ 「あぁ、そや音羽。今すぐとは言わんけどもちょっと長州へ行ってくれへんか」 「ごふっ!」 豆腐が入ったみそ汁を啜っていたら泰平から思わぬおつかいについ吹き出す 「はぁ!?いきなりなに!?」 「今すぐ、とは言うとらんって。松陰先生に手紙を届けて欲しいんや」 「飛脚に頼んだらエエやん」 「中は読んでほしないんや。飛脚でも悪さするモンはおるやろ」 泰平や奏たちの話しによれば生きていたこの世は浮世と呼び、此処、死後の世界は来世と皆は言うらしい 後、此処で殺人を犯したとしても時間が経てば瀕死の傷を負っても死なない仕組みだ とは言っても罪は罪でやはり裁かれるので罪を犯した者は役所に連れていかれる 来世でも政に首を突っ込んでいるのだろうか 危ない内容を認(したた)めて飛脚が読めば間違いなく牢獄行きだ 「………十日待って。来たばっかやし、まだあぐりちゃんらと話したいわ」 「かまわんよ。彼方くんを護衛に付けるから天音を先生に見せてあげなさい」 「任したで彼方くん」 「了解です!まっかしてください!」 さて、音羽と稔麿は無事に会えるのやら 続く
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