出逢い

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子供を放り投げて土下座していた母親の両腕を掴み立ち上がらせる 「ちょいと待ちぃなアンタら」 京訛りのある柔らかい高い声が野次馬たちから掻き分けて入ってくた 「弱い人に強く見せて何になんねん。どうせ強い人にはヘラヘラペコペコしとんとちゃうの」 紺青色の着物を纏いサラサラした髪は珍しい事に日本髪に結わず高い位置に結った少女がクスリとゴロツキに笑う 「ハッ、なんだ嬢ちゃん。この二人の知り合いか?」 「全然知らん人や」 「じゃあ黙ってろ!関係ねぇ女ざ邪魔だ!」 「関係なくても、同じ人間。困っとったら助けんのが」 出入口の前にいた少女が一瞬に子分の一人を地に臥せさせた 「人としての道理やない?あと峰打ちやけど暫く痛むやろうな」 たった小太刀一本。それだけで刃を使わずして気を失わせた 「てめぇ…!よくも俺の…!やれ!」 残りの子分たちが刀を抜いて威嚇しても少女は平気そうな顔をして刀を見つめる 「大分痛んどる刀やなぁ。斬る前に折れんとちゃうか」 「んだとぉ!?これでもくらいやがれ!!」 子分たちが一斉に少女に飛び掛かり刃を振り落とす……筈だった 一人の子分の刀を奪い取り、刃を折ったのだ。これには子分もゴロツキも野次馬も栄太郎たちも目を点にさせた 「やから言うたやない刀痛んどるって。何を斬ってこないなったんやら」 持っていた刀の平地を触り、地に刺して足を使って折る 「去ね」 それだけで小柄で細い少女に震え上がったゴロツキと子分たちは文字通りの尻尾を巻いて逃げた
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