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優に反物を無理矢理渡してさも当たり前に帰る稔麿。木河の両親は優のことでいつも謝りに来る
(謝りに来るなら性格治してやりなよ)
「ただいま帰りま…あ、お久さん」
店に帰ると深緑の反物を旦那に見せてもらっていたお久がいた
「お邪魔してるわね稔麿くん」
「いえ。先生の反物を買いに?」
「えぇ。まだ暑いけどすぐに寒くなるでしょ?旦那様は自分に無頓着だから」
お久が紅をさした唇に弧を描かせる。自分の私事より皆の公を優先させろと生前から受けてきた教育の賜物だ
「先生ならその深緑より、淡黄が似合います」
「淡黄を?あら、良い色」
「淡黄なら季節を問わずに着れますよ」
旦那の推しもあって深緑を止め淡黄の反物を購入
「稔麿くん今日はいい日になるわね」
「はい?」
「理由は夕方くらいに分かるわ」
意味深な言葉を残してお久は反物を持って帰る。首を傾げて考えても意味が分からない
「ウ~ンなんだろ……」
『ごめんくださーい』
「はいはい。吉田くんお客さんだよ」
「あ、はい」
モヤモヤした気持ち悪さを抱きつつ接客に励む
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