出逢い

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「大丈夫?」 「ははい!!?」 放心状態の母親に手を差し延べたらかなり驚かれる少女。怖かったのではなく意外だったからだ 「長州【ここ】でもあないなゴロツキおるんやねぇ」 楽しそうに笑う少女に大歓声が挙がる。少女を自分の店に招こうとするがやんわりとそれを断る そのまま置かれていった刀を母親から風呂敷を貰い包んで店から立ち去る 「すごいねぇ。動きにくい着物であんだけ機敏に動けるなんて」 高みの見物と化していた九一たちが口を開き先ほどの少女に興味を持つ 「あの子面白いね」 「刀が痛んでるのを分かり、それを狙って折るんだからな」 栄太郎、晋作もかなり興味津々の様子。 「そりゃあの子は「ねぇねぇ!さっきの子、追跡しない?」 「あの「良いんじゃない。講義はもう終わって暇だったし」 「ちょっ「じゃあさっさと行こっか!」 俊輔の言葉を幾度となく遮り不思議そうに首を傾げる一同。決して悪意があっての、ではない(と信じたい) 町を抜けて外れにある桜並木道を一定の距離感を保って少女の後を追う (おー!見事な桜だー!) (真面目に気配を消せ九一) (消してるよー。あの子全然気付いてないじゃん) 義助に窘められても桜を見上げて散歩感覚だ 少女は何も知らない顔で途中寄った甘味処で買った桜餅を頬張る すると、ピタリと立ち止まり後ろを振り向く 「出てけぇへんの?俊輔さんたち」
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