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九一が皆の代わりに頷く
「それで、うちに何か用でも?」
「用っていうか、暇つぶしに君を追っかけてきた」
「ふぅん……」
「音ちゃん、その刀どうすんだ?」
俊輔が壊れた刀を指差すと音羽からあぁという声が漏れた
「溶かして、うちの練習用にする。拵えは別注やから捨てるけど」
「へー、初めて知った。足軽って刀持つ意味ないから」
和気藹々と和む二人だが、他四名はほったらかしだ
「ところで音羽ちゃんは剣道してるの?いくら鍛治屋の娘だからってあそこまで出来ないよ」
「…我流でやっとります。女やからって何処も入らしてくれまへんかったから」
一瞬音羽の顔が曇ったがすぐに笑顔になる
「じゃあさ、試合やってみない」
「本気で言ってんのか栄太郎。相手は女だぞ」
「女でも剣の道を歩んでる人間だよ。僕にとって関係ないよ性別なんて」
晋作が眉間にシワを作っても栄太郎は一度言えばやり切る男だ
「明日、未の刻に松本村にある松下村塾に来て。竹刀は貸してあげる」
「拒否権無し……?」
どう断ろうか頭を悩ましていると栄太郎が口を開く
「もしかして僕に負けるのが怖い?」
「はい?そんな訳あるはずないやろ」
栄太郎の馬鹿にした目で見られ音羽は下から睨む
「良いんだよ強がらなくても。さっきのは“まぐれ”でしょ?」
まぐれを強調し、音羽は顔を真っ赤にさせる。勿論、怒りで
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