第二章 酒出 太志と言う男

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   そんな事を言っても高見沢署長は、納得などするはずもなく酒出の相棒は誰だと聞き、早く呼び出すよう指示と言う名の命令が出た。  仕方なく、携帯で昨日聞いたばかりの番号に電話してみた。 「出ねえし……」  昨日は酒に酔い、昼過ぎに現れた。  まさか、事件の真っ只中で深酒したりはしないはずだが、酒口としてはそれを疑っていた。  酒口の午前中の仕事は、酒出への連絡のみに集中させられた。  そして昼直前4件目の誘拐事件が、千葉西警察署管内で発生した。  北方と矢次は昼過ぎに戻る予定だったが、その為に一日合同捜査本部に張り付く事になる。 「酒口くん、まだかね」 「ずっと、連絡してますが出ないんですよね。自宅の番号とか知りませんか? 署長」 「そんなもの、私が知るわけないだろ。もう、こっちの会議を始めるぞ」 「はい、分かりました」  そうして新たに発覚した事件の情報と、現在の捜査情報の報告がなされた。  酒出は、会議中に現れて応接室のソファーに寝転がった。
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