第一章 千葉北警察署刑事

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   勤務していた交番でも酒口の対応に困っていた頃、市内では正真正銘の空き巣が連続で起きていた。  侵入の手口が全て同じ事から、同一犯のものと考えられていた。 「それじゃ、昼飯を買ってきます」  酒口は交番から近所の弁当屋に、昼食を買いに出掛けた。  その時、一度目のラッキーが訪れた。  弁当屋の3軒隣の住宅から、周囲を伺いながら出てくる不審な男を目撃、追跡した。  男がたまたま目の前で躓いて転んだ為に、あっさり逮捕が出来た。 「本当に、連続空き巣の犯人なのか?」  連行されていく男を見送りながら、交番の同僚達は疑惑の言葉をこぼしていたが、取り調べの結果本人が犯行を自供した為、酒口のお手柄が確定した。  ガス会社のオバサンを誤認逮捕した件があったから、誰でも疑うのは当たり前だった。 「まっ、ラッキーだったな」 「いえいえ、僕の実力です。これで、刑事の夢に近付きましたよね?」  警察内では、誤認逮捕とお手柄でチャラといった考えだった。  たが、ラッキーは続いた。
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