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そのポーズは、黙秘権行使の意思表示だった。
「また、黙秘かよ。隣の部屋では西口の嫁さんが、全部話してるんだ観念したらどうだよ」
「…………」
「あのな、黙秘するって事は、自分の首を締める事になるんだぞ」
ここで、峰山が初めて口を開いた。
「黙秘……」
矢次を完全に馬鹿にしたように、人を食った態度で彼の正面で、だらしなく座っている。
何があっても、話す気は無いようだ。
取り調べは、30分交代で刑事が行ってるが、峰山の口は、まるで開く事を拒絶するように開かなかった。
「いやぁ、参りましたよ。ここまで頑固とは思わなかった」
「矢次、そんなにか?」
「北さんは、いいですよ。西口 由貴子は、素直に自供してるんでしょ? こっちは、人形にでも話してるみたいですよ」
「ははっ、そいつは厄介だな」
取り調べから解放された二人が、刑事課で顔を合わせてそんな会話をする。
年齢的には矢次の方が若いのだが、疲れているのも矢次であると、誰の目から見ても分かった。
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