第四章 30年の怨み

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   手の空いた捜査員は思い思いに、コーヒーやお茶を飲む。  そうしながら、取調室からもたらされるであろう、新たな情報を待っていた。  期待してるのは、西口 由貴子の方であって峰山の方は、既に期待の外にあった。 「酒出達は、まだ戻らんか?」 「北さん、峰山のオフィスに張り付いて酒出さんが動かないらしくて、二人も困ってるみたいですよ」 「まだ、隠された何かがあるのか……」 「さぁ、俺にはあの人の事は分かりませんよ。北さんの方が、知ってるじゃないですか」  北方は煙草の煙を吐きながら、何かの思いに耽っていた。  以前、酒出と組んで担当した、事件でも思い出しているのかもしれない。  矢次は北方を見ながら想像し、手にしたコーヒーを飲み干した。      
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