最終章 親子の絆

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         1    未曾有の大事件と毎日報道された、千葉県資産家誘拐事件。  それが婦人達による、狂言誘拐だと知らされマスコミは色めき立つ。  最初の記者発表から1週間。  資産家達のスキャンダルが、一通り出揃い婦人達が解放されて、残るは犯人グループ逮捕を待つばかりで、新事実が浮かび上がる。  時間は、夜の9時を回っていた。  新聞社は、特に慌てた筈。  記者会見場である県警本部では、同社の記者達が頻繁に出入りと入れ替えを繰り返し、会社に連絡をしているのであろう。  そして、西口 由貴子が千葉北署に移されたと知り、こちらにもマスコミが押し寄せていた。 「新聞の朝刊って、何時までに持ち込めば間に合うんですかね」 「さぁな、知ってた気もするが疲れで頭が回らんから、思い出そうとしても出てこねえや」  峰山 真貴の取り調べに当たっている刑事達が、廊下の窓から署の前にいるマスコミを見て、そんな会話をしていた。  この時、時間は10時30分。  怒りは、肉体に疲労をもたらす。
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