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生来、無意識に人の神経を逆撫でする人間はいる。
だが、峰山は意図的に刑事達を怒らせた。
結婚相談所の社長ともなると、人の感情をコントロールする事も、朝飯前といった所なのか。
千葉北署の刑事だけでなく、県警の刑事も舌を巻く。
しかも、峰山は一言も話してないのにだ。
「北さん、峰山の取り調べお願いできませんか? 誰が尋問しても、無理なんですよ」
「じゃあ、俺だって無理だろ」
「ですがぁ……」
矢次は、これまでに見せた事の無いような、情けない表情で泣きついたが、北方はそれに応じるつもりは無かった。
「それに、あの社長を自白させるのは、俺達の役目じゃないさ」
「酒出さん、ですか」
「そう、奴さんしかいねえだろ」
峰山に向かわず、疲労の色が見えない北方は、自信を持って言い切った。
実は、峰山を取り調べない為の言い訳では無いかと、矢次は心のどこかで疑っている。
一方、マスコミは夜のニュース番組で、事件を取り上げたり自社のホームページに、最新ニュースとして流した。
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