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それを見た周辺住人が、野次馬として押し寄せる。
千葉北警察署前は、国道に面しており、狭い舗道にマスコミと野次馬が押し寄せた事で、収拾が付かなくなっていた。
そこで署長が、会見を開き収拾に努めた。
「しかし、事件はどこに進んでるんですかね?」
「さぁ、その答えに一番近いのは酒出と、あの二人だろうと思うよ」
そして矢次は、溜め息をついて肩を回し、首を鳴らしながら、取り調べ室に向かって歩き出す。
北方は、デスクに足を乗せ電話が鳴るような予感に、電話を見詰めたのだが、期待を裏切り電話は鳴らない。
それで酒出が、今も苦戦しているのだと思った。
そこに、県警の若い刑事が来た。
「あぁっ……」
「どうしたんです、北さん?」
「何かを、見落としてるような気がしてな。それが、何だったかなぁ……」
眉間にシワを寄せる北方を、若い相棒が覗き込み不思議そうな表情を浮かべた。
その表情がヒントになった訳では無く、北方はその違和感に辿り着いた。
「西口婦人の自供……」
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