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北方の指示を待たずに、若い刑事が動く。
その辺りが、酒口とは違う。
程無くして、必要な情報の一部が手に入った。
正式な家宅捜索は、日が変わってからだろうが、大きな事実としては、婦人達が送金した先の峰山の預金通帳が、未だ発見されない事。
それも、日が開ければ調べようがある。
「これ、脱税やら金銭からみの余罪も出そうだな」
「考えたら、不正と言うか不当な方法で手にした金ですから、隠避したって不思議じゃないですよね」
二人だけで色々な予測を飛び交わし、その着眼点の正確さに興奮を覚えていた。
若い相棒が、ふと思い付く。
「北さん、こっちの余罪を隠すための黙秘ですかね?」
「かもな、だが証拠を今すぐ揃える事は出来ない……」
北方の頭には、峰山がそんな時間を稼ぐために、黙秘をしていたのだろうと考えた。
酒出だったら、この事実にどんな答えを出すだろう。
北方は、そう考えていた。
「この事、酒出達に連絡してやってくれないか」
「分かりました」
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