1862人が本棚に入れています
本棚に追加
/317ページ
躊躇っておきながら、煙から視線を外し若々しくも、見事なラインの女の下着姿を見ながら10数年前を思い出した。
10数年前に、男はこの場に別の女といたのだ。
「俺が貧乏で若かった頃、当時の女と一夜を共にした場所だ」
「それって、どのくらい昔の事?」
「学生の頃だ……」
「実は、初体験だったとか?」
「いいだろ、別に……」
自分よりも10近く若い女に、図星な事を言われて男は黙るしか無かった。
煙草を灰皿でもみ消すと、女を後ろから抱き締めて若い女の肌の質感を感じ取る。あの日の女も、肌の綺麗な女だったとセンチメンタルな気持ちになっていた。
「ねぇ?」
「なんだよ」
「本当に、奥さんにはバレてないの?」
「最初から知ってたかもしれないが、あいつはだからって何かをするような女じゃないさ」
男は、女から手を離し自分も服を拾い上げる。
「じゃあ、どうして私とこんな関係を続けるの?」
「それは、お前が妻と別れて結婚しろとか言わない、面倒な女じゃ無いからだ」
最初のコメントを投稿しよう!