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「…さあ、こちらへ…」
私は連れて奥へ奥へと 連れていかれてる。
辿り着いたのはまた 大きな大きな風呂場だった。
「湯殿頭はいますか?」
楓さんは 辺りを見渡しながら 人を探していた。
「はい。楓様何か…」
風呂場の奥から 少し年配の女性が 出てきた。
ふくよかな優しそうな人だ。
「客人です…湯をよろしく…」
楓さんは 私をこの女性に引き渡した。
「…畏まりました。どうぞこちらへ…」
「怪我をしているようだから…」
「私は…里とお呼び下さいねぇ」
私は、里さんに 手を借りて お風呂場に入っていった。
〈…大きい…何の香かしら?〉
椅子に座らせてもらいながら、私は 辺りを見渡した。
「さあ…お嬢さん、その奇妙な着物を脱いで下さいませ…」
〈…奇妙…って…制服なのに…〉
私は 制服を脱ぎ始めた。
さあ 風呂場に行こうとしたら
「これを着て下さいね」
白い着物を一枚渡された。
私は ゆわれるがままに一枚の白い着物を着て奥へ進んだ。
聞いた事がある…昔の時代では 着物を着たまま 湯舟に浸かっていたのを…
〈何か浮いてる?〉
「薬草にございますよ。」
〈薬草かぁ〉
「若君が…入れるようにと…」
〈そうなんだ…〉
私は 若武者の顔を思い出していた。
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