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「さっきから、黙ってるけど…喉も痛いのかい?」
里さんは 私を見ていた。
「…!」
そぅいえば 気がついてから私は 驚きの連続で…一言も 言葉を発してなかった事に気が付いた。
「…よほど…怖い思いしたんだねぇ…」
〈怖い…思い…?〉
私は 覚えていなかった…。
私は 湯舟から上がり、綺麗な着物に着替えた。
「まぁ…よく お似合いです事…」
里さんは 私を支えて湯殿から ある部屋の前まで連れて来てくれた。
そこには 楓さんが 襖の前に座っていた。
「…若君様…。
「うむ。」
楓さんが 襖を開けると 先程の若武者が座っていた。
「入りなさい…よく、似合うな」
私は ゆっくりと若武者の前に座り頭を下げて声の出せない私は お礼をした。
「…声が出ないんだね…。」
「…」
「私は…隆丸だ。そなたの名前は…」
隆丸は 紙と筆を私に渡した。
「…」
〈…名前…思い出せない…〉
私は 首を振った。
…リン…リン…
鈴の音が聞こえた…
私は 辺りを見渡した。
「どうした?鈴が気になるのか?」
隆丸の手首に巻いてある鈴を私は見つけた。
「何をするつもりです!」
私の手を楓さんは 扇子にて 叩いた。
私は はっとして 叩かれた手を見た。
私は 無意識に隆丸の手首の鈴に手を延ばしていた…。
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