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「娘…気が付いたよぅだな?」
私は 静かにうなずいた。
「それはよかった。立てるか?」
私は 立ち上がろうとしたが、体が 上手く動かなかった。
「よい…無理はするな…」若武者は そぅいって抱き抱えて 歩き始めた。
「若君!どちらへ!?」
「屋敷へ連れて帰る」
《屋敷!?》
私は 驚いて若武者の顔をじっと見た。
静かな真っ直ぐな瞳、精悍な顔立ち、私はドキドキした気持ちで 下を向いた。
「何と!?殿には何と!?若君!?」
「じぃ!私の屋敷に連れて行く!黙って着いてまいれ!」
じぃと呼ばれた武士は また 驚いて小走りに着いてきた。
「どこの誰やらわからぬ者を…」
私は聞こえないふりをするしか なかった。
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