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布団の中が目眩がするほど異様に暑い。
結露の雫が窓に張り付くのを諦めて垂れていく。
そんな冬の朝、寝冷えしても可笑しくない状況であるのだが、暑苦しさに僕は起こされた。
いつも7時30分に設定している目覚ましもまだ鳴っておらず、たいへん不愉快な目覚めだ。
とりあえず布団から出て窓を開けて外の空気を吸えば幾分か気分もましになるだろう。
温かい布団特有の魔の手から逃れようとしたが、足がいつものように動かない。
風邪をひいたのかと疑った。
二階建てである我が家の一階からパンの芳ばしさと少し苦手な牛乳の甘ったるい匂いがした。
母さんの得意のフレンチトーストかな。想像したら涎がいつもより湧いてきた。
それでも、まともに起きれそうにない。やっぱり風邪かもしれない。
今日は学校を休もう。フレンチトーストを食べてから寝よう。
その旨を母さんに伝えるために僕はいつもより重たく感じる布団から這い出た。
刹那、僕の部屋に備え付けられている鏡に目がついた。
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