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寒い…
そう思いながら自転車を漕ぐ。
ただ漕ぐ。
ひたすら漕ぐ。
目的地は自分が通う高校なのだが、いかんせん自分は朝には弱く今日も若干寝坊気味。
寝癖は気にせずチャイムと同時に教室に駆け込む。
幸い担任はまだ来ていない様子。
息を切らしたまま席に座る。
すると隣の席の友人が
「大丈夫か?」
と話しかけてくる。
僕は
「余裕」
と余裕なさげに返して机に突っ伏した。
しばらくすると担任が教室に入ってきた。
HRが始まる。
どこどこの教室が学級閉鎖になった、先日行われたマラソン大会の結果がどうこうだった
と特に聞こうとも思わない会話が続き、そのまま一限目に入った。
世界史…
全く、何で自分に関係のないオッサンが頑張った話を聞かねばならないのか、小一時間教師に問いただしたいが生憎僕にそんな度胸は無い。
非常に悲しいことだ。
しばらく授業を受けると何故か分からないが
時間が…跳んだ。
室長の規律の掛け声と同時に立ち上がり一礼。
全く不思議な事だ。この自分に時間を跳躍する力があるとは…
ただ確かな事は、バインダーの金具部分が食い込んだらしく手に真っ赤な跡が出来ていること、若干目が充血している事、そしてノートが全くの白紙と言うことだった。
空間跳躍の代償は大きかった様だ…
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