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古いタンスの並ぶ辺りまでで、三つもパックを交換した。四つ目のパックをセットしながら、掃除の済んだエリアとまだのエリアを見比べていた、その時。
この前も聞いた、紙の擦れ合うような音が聞こえてきた。
聞こえてくるのは、やはりこの前と同じ、ちょうど仏壇の上の位置にあたる、あの和箪笥。
「母さんタンスも処分するって言ってたし、引き出し抜いて確かめてみるかな」
私は掃除機を邪魔にならない所に置いて、例の引き出しに手をかけた。そして力いっぱい取っ手を引っ張る。
鳥肌が立つほど不快に軋みつつ、引き出しが開いてくる。この前発見した赤ん坊の着物が手前にずれてきた。
「着物は出しとくか」
力任せにパカンと引き出せば、中身は皆床に散らばってしまう。私は着物を掃除の済んだ床の上に降ろした。
「あれ?」
引き出しの中には、着物の他に、古びた新聞が一枚、小さな木箱が一つ……
その木箱にはかすれたような筆文字が書いてあった。
「なんだろ、これ」
好奇心から、開けてみることにした。今までこういった木箱などから出てきたアクセサリーなど、もらっていいことになっていたからだ。
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