かこ 五つ

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 私は産まれたばかりの頃から、人形は苦手だったらしい。傍に置くと、怖がって泣いたそうだ。  今でも、私は人形が嫌いだ。嫌いと言うか、生理的に受け入れられないのだ。  結婚して、実家に置いたままだった雛人形や市松人形を引き取った時も、正直快いものではなかった。  だから、引き取った後も、人形達は一度も箱から出さなかった。  五年住んだマンションから引っ越すことになった時は、それらを箱ごと供養もせずにゴミに出してしまった。  手元にこれ以上置いておきたくなかったのと、ずっと箱に入れたままで、虫やシミにやられ、引き取り手もなかったために――。  もちろん、後悔などしなかった……あの時のように。  祖母が奇跡的に体調を保ち直し、母に引き取られることになった時、私達はできるだけ両親の家に近い所へ引っ越すことにした。  何が起きても、すぐ駆けつけられる距離が良いと判断した。身内の中で、一番身軽に動けるのは私しかいないから。  引越が決まって、私はすぐに人形の保存状態を――嫌々ながら確認した。  当然、綺麗な訳がなく、人形専門で引き取ってくれる骨董屋に持って行くのは断念した。  ならば、どうする?
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