一章

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あの事件から一二年が過ぎた。 事件は闇に葬られ、知る者はごくわずかだった。しかしごくわずかな知る者たちが知っているのは『少年テリーが貴族リリスと執事ゼーバチャンを惨殺』というものでリリスとゼーバチャンの王妃暗殺の計画を知る人間はバルドとテリー、それとテリーの兄二人だけだった。 カルナとシャーブルの国境を跨ぐ森。そのカルナ側の森の奥に小さな小屋が建っている。その中にテリーの姿があった。 森に棲息する猛獣を狩りながら生活する彼はいつしか立派な青年になっていた。
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