プロローグ

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言葉で何を訴えようと子供の自分では無理だとテリーは理解していた。 どうしようか辺りを見ると、扉のそばにある棚の上にナイフが見えた。 ……これで止めなきゃ。僕が止めなきゃ……。 この時はこれが正しいことだと信じていた。 ナイフを手に取る。 子供の小さい手には少し大きかったが大した問題ではない。 革製の鞘からナイフを抜き取り扉に近づく。 少し開いた扉からは男が見え、その奥に母リリスが見えた。 愛しい母の姿を見ると王妃が死ねば……と考えてしまったが、首を振り邪念を振り払う。 そして、勢いよく扉を開けナイフを構えて男に突っ込んだ。 男は突然のことに反応できず腹にナイフが深く突き刺さった。 「きゃあぁぁぁぁ!!」 リリスの悲鳴を聞き、急いで男からナイフを抜き取る。傷口からまるで噴水のように紅蓮の液体が飛び出した。それはテリーの身体に付着し、血液独特の鉄の臭いが鼻を掠めた。
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