徐州へ

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数年前に発生した黄巾族の乱で、各地は大きな被害を出したが、その残党が野盗の群と化して、その後も近隣を荒らし、乱の際に土地を離れた流民は、少しでも食料が有るところには大挙して押し寄せてくるので、食料問題は深刻な状況をきたしている。 徐州とて例外ではない。 陶謙は、黄巾の乱の際、徐州刺史に就任して、その鎮圧には功績があったものの、被害を受けた徐州の再建には無策であったばかりか、逼迫した財政を埋めるために山賊まがいの行為までし、批判する者には容赦ない弾圧を加えた。 当初豊かであった徐州もここ数年で無残な有様になっていた。 陳登は、陶謙の所業を苦々しく思っていたが、今は民の困窮を済うことが急務であると考えている。 しかし、陳登は農政に関しては門外漢である。 これほど荒廃してしまった農業をどうすれば復興出来るのか、その糸口さえ掴めない。 「どうしたものか…」 陳登は途方に暮れていた。
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