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華キンは、陳登を見るや、
「典農校尉に昇任なさったそうですね。おめでとうございます。」
と笑顔で肩を抱くようにして、室内に招じ入れた。
これだから…華子魚殿は好い、と陳登は華キンの大人の風に触れるといつも思う。
実際には華キンは陳登より5~6歳上に過ぎないが、陳登は、自分にはこんな風格は出ないだろうな、と思うのだ。
「お邪魔ではないですか?」
と挨拶すると、華キンは、
「何の、目下やることがないのでね。無聊をかこっていたところさ。」
と、座るように促した。
二人が席に落ち着くと、華キンは、
「仕事は順調かな。陳典農殿。」
とからかうように言った。
明敏な華キンは、陳登が農政に頭を悩ませていることを見抜いている。
「私は農事に疎いので、何から手を着ければ良いか分からず困っていますよ。」
陳登は情けなさそうな表情を浮かべた。
はは。
軽く笑うと、華キンは話題を変えて、都の情勢などを話し始めた。
「董卓は放っておいても長くはもたないね。」
華キンは言う。
「それより気になるのは反董卓の諸侯だよ。」
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