徐州へ

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天下が群雄割拠に陥ったら、どう収拾がつくのだろう? 漢王室は一体どうなるのか? 考え込んでいる陳登に華キンが、 「徐州も動乱に巻き込まれる可能性がある。これからは、もっと諸侯の動きに注目すべきだろうね。」 と言った。 「差し当たり誰に注目したらいいでしょう?」 と聞くと華キンは、 「君は誰だと思う?」 と逆に聞き反した。 「袁車騎将軍は代々の名門で、反董卓連合の盟主ですが…」 陳登が言い淀むと、 「袁本初殿は、注目に値しないかね?」 華キンは聞いた。 袁本初とは、袁紹、字を本初といい、代々漢王朝の三公を輩出してきた名門で、反董卓連合軍の盟主を務めている。 義兵を挙げる際に、車騎将軍と号していた。 「そうではありませんが…」 陳登は、尚も言い淀む。 華キンは、静かに続く言葉を待った。 やがて陳登は、 「華先生のお話をうかがうと、袁将軍は大事を成し遂げる方とは思えないのです。」 と言った。
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