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徐州兵は戦えるのだろうか。
陶刺史では無理だろう、と陳登は思っている。
徐州の兵は、志気が低く規律も乱れている。
それには事情があった。
以前、陶謙は、下ヒの闕宣という者と組んで、山賊まがいの略奪行為を繰り返していたが、後に仲たがいして闕宣を殺し、その兵力を吸収していた。
これでは、身内に強盗集団を抱え込んだようなものである。
このことは、元からの徐州兵との間に軋轢を生じたが、陶謙は、それを統制することが出来なかった。
とても他国の兵と戦うどころではない…
剛直な陳登は、しばしば陶謙の面を冒して切諌しているが、未だに改まっていない。
「周辺勢力に徐州を攻める口実を与えてはならない。」
徐州の平和は、累卵の危さの上にかろうじて保たれていることを、陳登は知っていた。
しかし、徐州侵攻の口実は、陳登にはどうすることも出来ないところで、既に与えられていたのである。
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